ユナイテッド航空にまたも不誠実な対応が起きていた事が判明した。乗客を引きずり下ろす動画で一躍名を馳せたユナイテッド航空だが、今度は障害を持つ94歳の女性客をビジネスクラスの航空券を持っているにもかかわらず、ビジネスクラスからエコノミークラスへと強制的に移動、障害者の差別を禁じる航空アクセス法に違反しているという家族の訴えが報道された。
ユナイテッド航空は先日、SNSを中心に拡散されたオーバーブッキング時に乗客を強制的に引きずり降ろす動画がきっかけで炎上し、男性客は前歯を2本折って鼻骨を骨折したという。日系のエアラインでは考えにくいユナイテッド航空の対応はどこまで炎上し続けるのだろうか?
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当初は人種差別か?と報道されたユナイテッド航空の引きずり下ろし事件は、今となっては単に「顧客ファーストではない最悪の航空会社」として語られている。引きずり降ろされる際に怪我をした男性は、弁護士が会見を行なって米主要ニュース番組が生中継でその様子を伝える盛り上がりようだ。会見には男性の娘も出席し、ユナイテッド航空を相手取った訴訟の準備を進めていることを明らかにした。
ユナイテッド強制退去、乗客男性は鼻骨折 訴訟を準備 :日本経済新聞
ユナイテッド航空の乗客引きずり下ろし騒動についてはユナイテッド航空がオーバーブッキングで人種差別?を読んでほしい。
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新たな燃料が投下される
そして先日、未だに事態が鎮静化していないユナイテッド航空に新たな燃料が投下された。94歳の障害を持つ女性を半ば強制的にビジネスクラスからエコノミークラスに移動させたというニュースだ。
英紙Mirrorなど複数メディアが伝えた内容を要約すると下記のような内容だった。
家族で祖母の為にユナイテッド航空のビジネスクラスの航空券(メルボルン‐ロサンゼルス往復・39万円)を購入した。祖母のパズさん(94歳)は深刻な関節炎と首に退行性骨疾患を患ってたので、少しでも快適な旅をという家族の配慮だった模様。
娘がエコノミークラスで同行し、行きのユナイテッド航空機内はパズさんの介助を行うことが出来た。また行きのユナイテッド航空のCAは行き届いたサービスを行い、何も問題は無かった。
ところがメルボルンへの帰りの機内で、ショーナというCAに「娘がパズさんの介助をビジネスクラスの座席で行なうこと」を拒否された。
娘はショーナに介助をお願いするがそれも断られて「この乗客が、あなたの介助を必要とするのであればエコノミークラスに移動させるか、あなたが別の便でビジネスクラスを購入して一緒に座るかどちらかだ」という選択を迫られた。
結局、娘はパズさんをエコノミークラスに泣く泣く移動するしかなかった。メルボルンに飛行機が到着する頃にはパズさんは体のあちこちに痛みを訴えていた。さらにはパズさんのビジネスクラスの座席にはアップグレードを希望していた別の乗客が座ることになった。
※参考:エキサイトニュース
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航空アクセス法に違反?それってなに?
今回のユナイテッド航空での一件をFacebookにシェアした家族はこう訴えている。
「ユナイテッド航空は恥を知るべきです。障がい者やお年寄りに差別をすることは“航空アクセス法”に違反しています。今後、私の祖母のような目に遭う人が出ないためにもこの出来事をできるだけ多くの人にシェアしてもらいたいと思っています。」
ここで出て来た「航空アクセス法」という物を皆さんご存知だろうか?僕はもちろん知らなかったので調べてみる事にした。するとフィンエアーのウェブサイトには比較的解りやすい記述があった。
米国航空アクセス法(ACAA)パート382は、航空機での障がいに対する差別を禁じており、この法は米国発着のフライトを運航するすべての航空会社に適用されます。米国発着便の運航中、フィンエアーは、ヘルシンキ空港およびジョン・F・ケネディ国際空港にComplaint Resolution Official(苦情相談担当者)を配置し、障がいに関する苦情の解決に当たります。
※フィンエアーサイトより
上述の通り航空アクセス法では航空機での障がいに対する差別を禁じている。今回の強制ダウングレードの一件は調査が行われた訳ではないので詳細は不明だが、家族の訴え通りならば航空アクセス法に抵触している可能性は有るだろう。
ちなみにこの航空アクセス法について、日本国内の大手航空会社はフィンエアーに比べるともう少しライトな表現に留めている。「差別を禁止する」というような厳しい表現はあえて使っていないようだ。
・JALの場合
米国航空アクセス法の取り組みについて
当社が運航する米国路線では、米国航空アクセス法(the Air Carrier Access Act)に基づき、お体に障がいのあるお客さまが快適に航空機をご利用いただけるよう、各種サービスをご提供しております。
・ANAの場合
米国航空アクセス法への対応について
ANAが運航する米国路線では、航空アクセス法(the Air Carrier Access Act)に基づき、お体に障がいのあるお客様が快適に航空機をご利用いただけるよう各種サービスをご提供しております。
うーむ、JALもANAもほとんど一緒の内容だ。ちなみにフィンエアーのサイトには航空アクセス法のPDFリンクがあったので興味のある人には読んでみて欲しい。とてもじゃないが僕には読む気になる文量ではなかった…。
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Fly the friendly Skies
ユナイテッド航空のキャッチフレーズは「Fly the Friendly Skies」だった。乗客引きずり降ろし騒動以来、巷ではこのキャッチフレーズのパロディが止まらない。記憶に新しいのはエミレーツ航空が作ったCMだ。少し前にユナイテッド航空のCEOに「航空会社じゃない」と揶揄されたエミレーツ航空は今回の騒動で反撃に出た。
その時の記事は炎上中のユナイテッド航空に対するエミレーツ航空の反撃が秀逸な件を読んでほしい。
また各所でユナイテッド航空のキャッチフレーズをパロディ化する動きの例としてはYOUTUBEにユナイテッド航空のCMのパロディがたくさん作られている。その中でも出来の良い作品のリンクを貼っておく。
また、こんな風に乗客引きずり下ろし騒動をパロったレゴの作品も登場している。みんな仕事早いなあ…
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あとがき
実際に航空会社のサービスに関しては個人によって受け止め方が違ったりもするので、一概には言えないと思う。僕も自分の体験に一喜一憂するし、以前にANAとJALの対応について記事を書いたことがある。その時の記事は「ANA塩対応」と「JAL神対応」の体験談を読んでほしい。
ただ、ユナイテッド航空のように衝撃的な事件は違う。あまりに世の中に与えてしまうインパクトが大き過ぎると思うのだ。
その他にも現役のパイロットが売春宿を経営していたとか、日本では芸能人が嫌な思いをしたとかテレビで言われて、ユナイテッド航空関連のニュースは留まることを知らない。こうなってくると気の毒になってくるのは真面目にお客様の事を考えて働いていた人達だ。
欧米では日本に比べると転職に対する障壁は断然低いとは思うが、本日の記事の中の「行きの機内のCAさん」は適切に業務をこなしていたのだろう。いずれにしてもユナイテッド航空は早急にコンプライアンス意識の立て直しに向けて手を打つべきだと思った。
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初投稿ですが、少し意見を述べさせていただいてもいいでしょうか。
引きずり下ろした事件に関しては乗客になんら落ち度はなく、ただただ酷いという感想ですが、上記の件は違うのではないでしょうか。
そもそもビジネスクラスのスペースはエコノミーの乗客に対して与えられておらず、通常エコノミーの客がビジネスのトイレを使用しようとしても断られますよね。
この場合も何度もエコノミーの乗客が行き来されては困るという考えなのでしょう。
それ自体はある程度自然の考えなのでしょうか。
それに対してこの付き添いの方もビジネスを買えばよいというのは理にかなっていると思いますよ。
前述の事件とは全く違います。
ユナイテッドに対してネガティブキャンペーンとなっているのでこの流れは避けられそうにないですけどね。
なけなしのお金を出したビジネスの客も有り余るお金から出したビジネスの客も扱いは一緒ですからね。
これがまかり通れば今後幼児だけをビジネスに乗せ、その付き添いで親がビジネスに乗るというのもすべて許可しなければならなくなります。(さすがにそんなことは現実にないでしょうが)
はつ様
コメントありがとうございます。なるほどなるほど、そういう考え方もありますね。参考になりました。個人的にはケースバイケースでの対応が求められるのかな…と思っております。(^-^)