てるみくらぶが返金できなくなった旅行代金ををクレジットカード会社が返金手続きを進めている。返金への対応はカード会社によって異なり、全てのカード会社が対応している訳では無さそうだ。
弁済保証制度の申請の締め切りは9月4日、現金払いでカード会社の返金の恩恵を受けられない被害者はこの制度で返金の代わりに弁済を申請できる。
てるみくらぶの顧客への債権は約99億円、旅行業法による「弁済業務保証金制度」では最大1億2,000万円が弁済に充てられると報道されている。
JATA(日本旅行業協会)には弁済申請の資料請求が3万3千件ほどあったが、現段階で提出済なのは資料請求数の約15%に過ぎないとの事だ。
単純に計算すると10万円の前払いに対して1,000円程度の返金しか見込めない為、面倒な申請書類の提出を放棄している被害者も多いのではないだろうか。
※2017年11月8日追記、山田社長逮捕の記事をリンクした。
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目次
てるみくらぶ騒動、未返金は3万人超
まだ記憶に新しい「てるみくらぶの破産騒動」。旅行代金を払い込んでしまった人や現地でホテルに宿泊を断られる人が続出した。この騒動が旅行業界に与えたインパクトは大きく、今もまだ返金待ちの人が3万人以上いると報道されている。
てるみくらぶの騒動についての記事はてるみくらぶ カテゴリーの記事一覧を読んでほしい。
現在、クレジットカード会社が独自に返金手続きを開始している。今回はカード会社の返金状況やその狙いは何なのかを考えてみたい。
2017年11月8日、ついにてるみくらぶの山田社長が逮捕されるというニュースが流れた。詳しくは下記のリンクで確認してほしい。
山田社長が逮捕されたことを受けて、この後どのような展開を見せるかを弁護士さんに聞いてみた。詳細は詐欺容疑で逮捕されたてるみくらぶの社長(年収3,360万円)は被害者に返金するのだろうか?弁護士さんに聞いてみたを読んでほしい。
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返金…ではなく弁済業務保証制度の申請は現在15%程度
弁済業務保証金制度という日本旅行業協会の会員旅行業者の顧客に一定の弁済を行う制度があり、今回の事例に適用される見通しだ。
てるみくらぶは2,400万円の弁済業務保証分担金を納付していた為、その5倍にあたる1億2,000万円が弁済限度額となり、てるみくらぶから返金を受けられない被害者に支払われることになる。
下記の記事によるとてるみくらぶの一般顧客債権は99億円程度と言われているので単純に考えると1%程度の弁済割合になる。これは100万円の旅行代金に対して1万円前後のの弁済があるというところだろうか。
返金申請まだ15%=てるみ顧客、「少額」で断念も
破産したてるみくらぶに旅行代金を支払った客のうち、救済制度を使って返金の申し出を済ませたのは1日時点で約15%にとどまることが、日本旅行業協会(JATA)への取材で分かった。
9月4日まで受け付けているが、返金額の少なさを見越して断念する人もいる。
救済措置は、旅行業法に基づく「弁済業務保証金制度」。協会の会員が売上額などに応じて決められた分担金を納付し、万が一の場合はその5倍までの金額をJATAが代行して返金する。
てるみ社も会員で、実現されない旅行の客が支払った代金は、保証金から一部が弁済される。同社によると、客の債権は約3万6000件、99億円に上る。
JATAによると、1日時点で、返金に必要な資料の請求は約3万3千件(92%)あった。JATAは7月5日以降、請求者に資料を送ったが、返金を求める申請は約5300件で、全体の15%にとどまる。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170803-00000013-jij-soci
記事内で言われているように「少額」の旅行代金の場合のあきらめが発生しているのかもしれない。弁済の申込に必要な書類の資料請求は約3万3千件あったとされいるが、2017年8月1日時点では申請は約5千件で全体の15%と少ない状態である。
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観光庁が旅行会社の監視強化を宣言
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02H6Y_S7A800C1CR8000/
今回の騒動が旅行業界に与えたインパクトは大きい。その為、観光庁が旅行関連の消費者保護対策に新しい方針を公表した。弁済金額の引き上げも方針に含まれている為、旅行会社の負担増は必至だろう。
観光庁は2日、旅行会社「てるみくらぶ」(東京)の経営破綻を受けた消費者保護策をまとめた。同社が多くの顧客に代金を前払いさせ被害が拡大したことから、前払い金の使途明確化や早期の支払いをあおる広告の禁止などを旅行会社に求める。破綻時の弁済額を引き上げる方針も決め、今後、具体的な額を詰めていく。
この状況下でJATAへの申請とは別に独自に旅行代金を返金し、被害者を救済している会動きが存在した。懸命な読者の皆様は記事のタイトルでお分かりだろう。そう…
クレジットカード会社が返金を開始しているのだ。
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クレジットカード会社が返金を開始、その狙いは何か?
てるみくらぶ被害者の弁済制度の申請がなかなか進まない中で、クレジットカード会社が独自に返金を始めた。てるみくらぶの旅行代金をクレジットカード会社から返金されたというツイートが続々と続いている。
てるみくらぶの支払、クレジットカードで済ませてましたが、ようやく返金の通知が利用明細内訳書が、送付されてきて、確認出来てホッとしてます。散々、気を揉んでしまい疲れました。JATAには請求取りやめ手続きを申請します。クレディセゾン高島屋カードは返ってきました。ありがとうございます。 pic.twitter.com/sCx4GnTf9I
— 品川田端 (@marumitako) 2017年7月24日
楽天カードさまさまありがとう!一生楽天カード使います!#てるみくらぶ #返金 #楽天カード
— きゃりー (@yucarry82) 2017年7月28日
今、dカードのてるみくらぶの担当者に連絡したところ、昨日、カード引落分の返金決定の旨の書面を発送したとのことです。
大阪から発送しているとのことで、明日にはお手元に届くかも。
ただ、実際の返金の処理については、1ヵ月から1ヵ月半ぐらい要すしそう。#てるみくらぶ#dカード— arunture (@arunture) 2017年7月20日
今回のてるみくらぶの破産騒動に対してのクレジットカード会社の返金対応手続きは会社によって違う模様。既に返金が完了しているケースもあれば秋頃に返金というクレジットカード会社も見受けられる。
いずれにしても今回のような悪意が隠れ見えるような騒動を、公的に保証できない場合には民間企業が善意で返金するというのは素晴らしいことだと感じた…。
が、本当に善意だけなのだろうか?
下衆な勘繰りを入れたくなってしまうのは悪い癖かもしれないが、一度考えてみようと思う。
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返金に応じたクレジットカード会社(一部)
僕はどこのクレジットカード会社が1番最初に返金を表明したのかは知らない。しかし先だって返金に応じたクレジットカード会社がある限りは、他のカード会社も返金に応じない訳にはいかないという状況だったのではないだろうか?
実際に某大手のクレジットカード会社は「初めは返金しない姿勢で他社の返金が進むにつれて態度を軟化した」という書き込みをみることができた。
また今はマーケティング的に「顧客のシェア」が重要視される時代だ。SNSやパブリシティ、CSR的な意味合いも含めてクレジットカード会社は返金を投資と考えたとも推測できる。この場合の費用対効果は算出し辛いだろうけど。
ちなみに僕が確認できる返金をした(表明した)と言われるクレジットカード会社は下記の通りだ。(順不同)
・クレディセゾン(UC含む)
・楽天カード
・三井住友カード
・ジャックス
・三菱UFJニコス
・dカード
・エポスカード
・YJカード
などなど…
返金を受けられない「現金払いの顧客」の悲劇
クレジットカード会社の返金手続きが始まっているのは朗報だが、現金で支払った顧客はその恩恵に預かることができない。今の時代を象徴するようなで出来事ではないだろうか?
低金利の時代こそクレジットカードを使用すべきだというコラムを読んだことがある。それは金利よりも遥かに多い現金相当のポイントが貯まるからだった。
しかし今回のように倒産劇の返金にまで応じるという事実は今後、ますます現金で支払う理由が無くなって行くことを示しているように思える。現在の状況は「現金払いの顧客にとって更なる悲劇」なのかもしれない。
高額の年会費を納めているカードならまだしも、年会費無料のクレジットカードまで返金に応じているのは改めてスゴイと感じる。
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あとがき:僕が選択するベストな旅行方法
色々と下衆な勘繰りを書いたけど、個人的には今回のクレジットカード会社の対応を評価したい。ネット上では「根本的な解決になっていない」という評価もあるが制度の整備は観光庁がこれから始めるだろう。
今回のてるみくらぶの騒動は①旅行会社に依存するところから始まり、②大事な現金を旅行会社に預けてしまった。そして③その旅行会社にほぼ悪意があったのが原因だと言えよう。
僕は今回の事例を教訓に自分なりのベストな旅行方法を考えた。やはりフライトやホテルを自分で直接予約して、高額の支払いはクレジットカードで決済するのが1番だという結論に達したのだ。
リスクを細かく分散することで
自分の身を自分で守るしかない
改めてそう感じたのだった。
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