「ねえ、はにゃおくん、このカード知ってる?すっごいお得なカードなんだよ」
ランチから戻った会社のエレベーターで、同じ職場のおばちゃんが僕に言った。僕の一回り年上の彼女が手に持っていたのは、あのソラチカカードだ。おそらく陸マイラーにとって一番メジャーなクレジットカードと言えるだろう。
「このおばさんもついに陸マイラーデビューか…?」
と、驚く僕に向かって彼女は「すごいんだよ、電車に乗るだけでポイントが貯まるの!」と興奮気味に話した。どうやら「PASMO連携で東京メトロに乗るとポイントが貯まる」という部分が、彼女の言う「すっごいお得なカード」の理由らしかった。
「ソラチカカードの本当の使い方は違いますよ」
喉元まで出かかった言葉を飲み込んで、僕は彼女に笑顔で相槌を打った。
このブログを読んでくれている読者の皆さんはもちろん知っていると思うが、ソラチカカードはあくまでも陸マイラーがマイルを貯めるためのクレジットカード、本当の強みは電車に乗ってポイントを貯めるツールでないと断言できる。
しかし時代は常に変化していく。まるで平成から令和に変わるのを待っていたように…
2019年12月にソラチカルートが消滅した。
そしてソラチカルートとソラチカカードは陸マイラーにとって必要ないものとなった。もう二度と戻ることのできない全盛期に思いを馳せて、僕の陸マイラー生活を総括してみようと思う。
目次
陸マイラーの全盛期を支えたソラチカカードとソラチカルート
「年間数十万マイルを無料で貯める方法はこちらをクリック⇒」
そんなタイトルのブログが乱立したのが2016年頃だったと思う。その記事の内容は必ずソラチカカードとポイントサイトのハピタスを使っていて…
「貯めたポイントを90%でANAマイルに交換、1ヶ月に18,000マイルで年間20万マイル貯まる!」(`・ω・´)キリッ
みたいな内容だった。例えば下の記事みたいな感じ。。
2016年当時、家族旅行の費用に怯えていた僕が辿り着いたのが、そんな陸マイラーのブログだった。初めて聞く「陸マイラー」という言葉は何とも胡散臭く聞こえ、新手の詐欺じゃないかと思ったのを覚えている。
実際に試してみると、思ったよりも簡単にANAマイルが貯まるので驚いた。それまではANAカードに決済を集中させても年間で3~4万マイルくらいしか貯まらなかったのに、夫婦でソラチカルートが回り始めたら1ヶ月でそのマイル数に達したからだ。そのくらい当時のANAマイルの貯め方はイージーだったと思う。
僕が嫁さんと「ハワイにビジネスクラスで家族旅行」という夢を語り合ったのもこの時だった。ソラチカカードとソラチカルートは…
僕達、家族に共通の夢を与えてくれた。
素敵なことはソラチカカードが経験させてくれた
人生で初めてビジネスラウンジを経験したのもソラチカカードのお陰だった。
マイルを貯めて特典航空券に交換し、初めてビジネスラウンジに入室した時の緊張感は忘れられない。そして家族で初めて乗ったビジネスクラス、ハワイへの家族旅行はまさに夢がかなった瞬間だった。
何度かブログで触れたことがあるが、僕には今でも忘れられない嫁さんのひと言がある。それはこんな言葉だった。
「ビジネスクラスに乗ると思うと、帰りの空港も楽しみに思えるね」
ごく普通の会社員の僕が家族でビジネスクラスに乗る為には、陸マイラーになるしか道はなかった。子供連れの海外旅行の帰り道ほど辛い旅路はないと思う。どれくらい辛いかというと、遠距離恋愛で彼女に会いに行ってフラれて帰って来る道のりくらい大変だ。
けれどもソラチカルート&ソラチカカードは…
家族旅行の帰り道も楽しくしてくれた。
ANAマイルだけじゃなくてJALマイルも貯まった
ソラチカルートでANAマイルが貯まってから気づいたことがある。
2016~2017年当時はハワイ往復のビジネスクラスの特典航空券はANAよりJALの方が断然取りやすかった。その為、僕はANAマイルと並行してJALマイルも貯めるようになった。
JALマイルはちょっと違うルートが必要だったけど、ポイントサイトを利用して貯めるのは一緒だった。既にソラチカルートでコツを掴んでいた僕にとって、JALマイルを貯めるのはそんなに苦ではなかった。
僕が初めて陸マイラー活動を知った時にはポイントサイトは如何わしく思え、マイルを貯めるのはとても複雑な作業に思えた。けれどもひとつずつ、見極めることで陸マイラー活動はローリスク・ハイリターンだということを学んだ。ソラチカカード&ソラチカルートは僕に…
物事を見極める力を授けてくれた。
お金よりも大事なものを教えてくれた
陸マイラーをしていて、ある程度マイルが貯まってくると皆がぶつかる壁がある。
それはマイルを使いきれないという贅沢な悩みだ。幾らマイルがあっても希望の日程の特典航空券が取れなかったり、仕事が休めないと使うことができない。航空券代が無料になるのが陸マイラーのウリなのに、予定が合わずに有償の航空券を購入したこともあった。
そんな経験をして気づいたことがある。短い人生の中でこの瞬間は二度と戻ってこないという事実、ソラチカルートとソラチカカードは僕に…
時間より大切なものはないと教えてくれた。
飛行機内でCAさんと会話できるようになった
特典航空券でビジネスクラスに搭乗することが多くなると、CAさんと話す機会も増えてくる。陸マイラーになる前の僕にとってCAさんは遠い存在で、話しかけることなんか想像もできなかった。
けれども搭乗機会が増えるにつれて、僕のコンプレックスは解消されていった。今ではCAさんとの会話を楽しんだり、情報収集をしたりしている。実際に話してみると人それぞれ個性があって面白い。中には意気投合して…おっと誰か来たようなのでこれくらいにしておこう。
ちなみに僕が現役のCAさんに聞いたCAさんの誘い方は下記のリンクをご覧いただきたい。
その他にもCAさんから聞いた話やエピソードの記事リンクを貼っておくので、ぜひ読んで見て欲しい。ダイヤモンド会員の秘密やキャビンアテンダントの恋愛事情など盛りだくさんになっている。
ソラチカルートとソラチカカードは僕に…
CAさんに興味を持たせてくれた。
陸マイラーとの別れは突然に…
僕に色々なことを教えてくれたソラチカルートとソラチカカードだが、陸マイラーとの別れは突然やって来た。
2019年12月27日を持ってLINEポイントがメトロポイントへの交換を終了。そのためソラチカルートを利用したANAマイルへの交換は事実上不可能になり、ソラチカカードの存在意義はほとんど無くなったと言ってよい。
ソラチカルート終了のお知らせを聞いた時に書いた記事は下記のリンクをご覧いただきたい。
ちなみに現在はTOKYUルートと呼ばれる交換方法が主流になっていて、ANAマイルへの交換率は75%となっている。
突然のソラチカルートの終了を聞いた時、僕は自分が意外と冷静なことに驚いた。陸マイラーとして3年以上マイルを貯めていると、様々な改悪を目にすることになる。条件の良い陸マイラー案件はある日突然改悪されて、また新しいプレイヤー(広告主)が現れる、そんな姿を何度も目撃した。
そしてついにソラチカルートの終了、陸マイラーとの別れを含めて…
陸マイラーは改悪の繰り返しであると学んだ。
僕にとってソラチカカードとソラチカルートの存在とは?
ここまで僕がソラチカカードとソラチカルートから多くのことを学んだり、恩恵を受けた内容について書いて来た。
何も知らない僕に多くの事を教えてくれたソラチカルート、良い時も悪い時も常に肌身離さずに持っていたソラチカカード。一体、ソラチカとは僕にとってどんな存在だったのだろうか?
そんなことを考えてみたら、ふと思い当たるふしがあった。僕に人生の喜びや悲しみを一番与えてくれた存在、それはきっと…
「初めての恋人」のような存在ではないだろうか?
マイルを貯める過程の成功や失敗と言った甘酸っぱい思い出は、まさに初めて異性と付き合った時の事を彷彿とさせる。
ソラチカカードとソラチカルートから学んだことを僕は一生忘れることはない。けれども陸マイラーとお別れをしたソラチカカードを財布に入れることは二度とないのも事実だ。つまり僕達がヨリを戻す可能性は限りなく低い。
そして…
2019年12月27日、ソラチカルートが完全に消滅した。
これから陸マイラーを始める人にとっては「え、ソラチカ?何ですかそれ?」という存在になる。これからはかつての陸マイラー全盛期に生きた僕達の記憶の中に残るだけの存在となっていくだろう。
「ソラチカよ、安らかに眠れ」
ソラチカカードとソラチカルート、陸マイラーの一時代を築いた存在に敬意を表してこう伝えたいと感じている。
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