続:ポイントサイト改悪の危険性~案件の収益構造を把握して考える~

ポイントサイト卵

ポイントサイトの改悪の危険性について、前回の記事とは別の視点から考察してみる。今回のポイントは「ポイントサイトの広告の構造」を踏まえてから改悪の危険性を考えてみたい。ポイントサイトの収入原資は主に企業からの広告収入だろう。その収支構造を踏まえれば何か見えてくるのではないか?という仮説の基でポイントサイト改悪の危険性について考察しよう。

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陸マイラーをしていると、ポイントサイトの案件の改悪を頻繁に目撃する。僕が陸マイラーになったばかりの時、保険案件は10,000円超の高額報酬が当たり前だった。今では大台に乗る案件はほとんど見受けられない。

ポイントサイトの条件改悪の危険はいつも身近な話と感じている。まずは企業はどういう目的で逆ザヤになるような広告を出すのか?その構造を確認しながら改悪の危険性を論じてみたい。

前回の記事ではポイントサイトが独自に陸マイラーのブログを模した企業広告を始めていることに触れた。もしもその方が効率が良ければ広告費はそちらに投入されていくことになるだろう。前回の記事はポイントサイトの改悪の予兆?を読んでみてほしい。

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そもそも陸マイラーってなに?という人はANAマイルの貯め方の記事がおすすめだ。陸マイラーとは飛行機に乗らずにマイルを貯める人の事。貯めたマイルをビジネスクラスの特典航空券に交換して旅に出たりする。

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ポイントサイトに広告を出す目的とは

ポイントサイト広告

企業がポイントサイトに広告を掲載する場合の目的は何か?売上や利益を出す為にポイントサイトに広告を出すんでしょと思った人はだいたい正解。でもその際には単純に売上を上げるという目標で広告を出すのではなく、KPIをどこに置くのかという設定をするだろう。KPIについてはWikipediaより引用させてもらおう。

 

重要業績評価指標(じゅうようぎょうせきひょうかしひょう、英: Key Performance Indicators, KPI)は、組織の目標達成の度合いを定義する補助となる計量基準群である。KPI はビジネスインテリジェンスにおいて、現在のビジネスの状態を示すものとして使われ、今後の対応策でどうなるかを予測するのに使われる。KPI をリアルタイムで監視することを BAM(ビジネスアクティビティ・モニタリング)と言う。KPI は、リーダーシップ育成、雇用、サービス、顧客満足といった定量的計測が難しいものを定量化する場合に使われることが多い。KPI は(例えば、バランスト・スコアカードのような技法を通して)一般に組織の経営戦略と関連している。

重要業績評価指標 – Wikipedia

 

ここから先の話は僕の仮説に移行するので注意してほしい。

ポイントサイトに広告を出す場合のKPIは大きく分けると2つに大別できると思う。それは「新規顧客の獲得」と「販路の確保」だ。単純に売上増という指標で図るのではなくこれらの指標を複合的に評価していくことになる。それらを踏まえれば今後起こるだろうポイントサイトの改悪を予想できるのではと考えている。次の項からはポイントサイトの案件を例にとって説明しよう。

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「新規顧客の獲得」について

新規顧客

新規顧客の獲得は誤解を恐れずに言うとマーケティングの世界では一番難易度と重要度が高い。もちろん利益を出し続ける為にはその他にも複合的な要素が絡むことは前提条件として存在する。

ポイントサイトの案件で言うならばクレジットカードの発行、FXの口座開設(入金含む)、通販コスメなどがこれにあたるだろう。どの案件にも共通しているのはLTV(ライフタイムバリュー)を最大化する作戦を用意して高額の報酬を用意している所だ。クレカやFXの口座開設は1万~2万円、通販コスメは100%還元と破格の還元率だ。LTVについては下記の内容を参考にしてほしい。

LTVとは、Life Time Value(ライフ タイム バリュー)の略で、「顧客生涯価値」と訳される。

一人、あるいは一社の顧客が、特定の企業やブランドと取り引きを始めてから終わりまでの期間(顧客ライフサイクル)内にどれだけの利益をもたらすのかを算出したもの。

顧客との関係を良好に保つことで利益を向上させるCRMとの親和性が高く、内容的にも分かりやすい指標であると言える。
一般的にロイヤリティの高い顧客ほど顧客ライフサイクル内にもたらす利益が多く、LTVが大きい。

LTVが重視されるようになった背景として、新規顧客獲得の難しさから既存顧客の維持が注目されたことが挙げられる。
「1:5の法則」にもあるように新規顧客獲得のコストは既存顧客維持の5倍といわれており、既存顧客を維持・拡大することは常に重要なテーマと言える。
LTVは顧客ごとに「時間」と「利益」によって定量化した指標であるため、既存顧客の維持・拡大における判断指標に活用されるようになった。

LTV | マーケティング用語集 | シナジーマーケティング株式会社 SynergyMarketing

 

ポイントサイト案件でクレジットカード発行したら「〇〇円以上ご利用で更に〇ポイントがもらえる」なんて条件を見たことがあるだろうか?あれはLTVの引き上げを目的としている。FX口座の「〇ロット以上取引で〇万円!」も同じくである。

企業の担当者はポイントサイト経由で入会や口座を開いた顧客が最低でも半年~数年の期間でどれだけ売上や利益に貢献したかを分析して、新規顧客獲得のKPIに対して広告の効果を検証することになる。

 FX案件の記事はこちらを読んでほしい。

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「販路の確保」について

販路の確保

もうひとつは顧客サービス的な意味合いを兼ねた販路の確保だ。楽天のポイント生活に浸っている人は価格差が大きくない限り直営の自社サイトで買い物をしない。更にポイントサイトにハマっている人は楽天で買い物をする際にはポイントサイト経由でしか買い物をしないだろう。つまりポイントサイト→楽天でポイントの2重取りという形になる。(ここにクレジットカードのポイントが加わり3重取りというのが一般的?)

ある程度、市場のパイを確保している企業がポイントサイトへの掲載を止めると、掲載している競合に顧客が流れるという図式が成り立つので大手の流通サイトはポイントサイトへの掲載を続けざる負えないのだろう。

この場合のKPIの測定手法としては自社のデータベースにいる休眠顧客とポイントサイト経由の顧客のデータをぶつけて「休眠顧客の掘り起こし」の検証などが考えられる。新規も入ってくるだろうし、数パーセント程度の手数料で売上が増大するのであれば自社サイトで30%OFFセールを打つよりもはるかに効率的とも考えられる。

 

ポイントサイトの広告料について

人から聞いた話で恐縮だが、ポイントサイトの案件の報酬は広告費用の約半分というのが相場らしい。つまりあなたがポイントサイトで10,000円の報酬がもらえる案件をこなすと、ポイントサイトに広告料が10,000円支払われる。広告主は合計20,000円を支払って購入顧客リストを手に入れることになる。

 

広告費用(100%)=案件報酬(50%)+ポイントサイト費用(50%)

 

何か裏を取れるデータはないものかと探していたら楽天証券の決算資料に面白いデータを発見した。

 

楽天決算

https://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/disc_PDF/kessann_20130510.pdf

上記は新規獲得口座数を広告宣伝費で割り返した場合の単価の推移と他社比較の資料だが、正に証券会社の「新規顧客獲得単価」と言ってもよいだろう。この資料から読み取れるのはオンライン証券会社の新規獲得単価は5,000円~10,000円強となっている。

 

そして今現在、ハピタスで募集しているSBI証券の案件がこちらだ。

ハピタスSBI

新規口座開設+入金で4,000円の案件、これを見て読者のみなさんはどう思うだろうか?案件報酬を倍にして8,000円だ。ポイント目当てで貢献しない人の分を差し引いて平均的なオンライン証券会社の新規顧客単価に倣っているように感じられる。

細かい単価設定は広告の位置やキャンペーンの手法によって変動すると思うが、企業は業界の指標に沿ってポイントサイトへの広告を出すということが伺える内容だと思う。

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絶対に口に出せない企業の本音

口に出せない本音

ポイントサイトに広告を掲載する目的を大きく2つに分けて説明してきたがこれだけではない。実は大きな声で人に言えない理由があるのだ。これは下記の記事を一読してほしい。セゾンカードが他のクレジットカード会社よりも大判振舞いな報酬を設定していた理由をブログ仲間の旅Mさんが分析している。

www.investravel.link

 

普段はおちゃらけた記事を書いているが、旅Mさんの投資家としての知識はズバ抜けていて読む度に目からウロコが堕ちる。旅Mさんがマーケッターとしてかなり高いレベルにいるということを見せつけられる記事だ。僕が大好きなブログのひとつであることも言っておこう。

 

広告掲載の3番目の理由になり得る

読者の皆さんは会社で「今月は利益よりも売上を取れ」とか、その逆を言われた経験はないだろうか?旅Mさんのセゾンカードの分析や巷で行なわれる「出血覚悟の決算セール」のように、企業として体裁を整えざる負えない状況がポイントサイトの案件が賑やかになる大きな原資になっている可能性は高いのではないだろうか。企業がポイントサイトに広告を出す為のKPIとして「新規顧客獲得」「販路の確保」に続く、第3の目的と定義したい。

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ポイントサイトの改悪の危険性は?

危険性の結論

ここまでポイントサイトの収益構造を解説してきた。そろそろ本題に戻って改悪の危険性について語ろう。広告を出す理由はざっくりと「新規顧客の獲得」「販路の確保」「企業の体裁」であると定義してきた。この3つの要素が企業にとって必要無くなる時は来るのだろうか?

正直、考えられることは少ないが思い切って提示してみよう。

 

・業界の寡占化が極端に進んだ時

複数社が凌ぎを削っている業界で、統廃合が起きて3社くらいになったとしたらどうなるのだろうか?3社で業界をコントロールするという合意が取れれば、ポイントサイトでの広告は優先順位が低くなるだろう。実際に世間には新規参入が許されない業界が存在する、例えばア〇ドの業界のように…。

 

・独自のサービスや顧客ロイヤリティを重視する企業の増加

Amazonのように独自のサービスに強力な資本を投下して顧客を囲い込む企業はポイントサイトの広告から離れていくだろう。 また顧客のロイヤリティに重きをおけば、自社サイトのサービス充実に資本を投下するはずだ。

実際にAmazonプライムのサービスは凄い。月々325円でお急ぎ便が使えたり、プライムビデオが見れたりするのは革命的なサービスだと思う。Amazonプライムは30日間の無料体験が可能だ。

Amazonプライム

 

・ポイントサイト運営会社が淘汰された場合

数多くあるポイントサイトが統廃合されて競い合う必要がなくなったら…ポイントサイト自体は今より利益率を重視して案件の改悪に繋がるだろう。

 

・企業が今よりもダイレクトに顧客にアクセスが可能になった時

テクノロジーの発達で今よりも企業が消費者にダイレクトにアクセスできるようになった時にアフィリエイト的な広告は淘汰されていくだろう。昔は必ず街にひとつは有った電気屋さんが淘汰されていったように…。

 

あとがき

おおまかにポイントサイトへの広告出稿の構造を踏まえてから、改悪の危険性を導き出そうと思って記事を書いてみた。「陸マイラーはポイントサイトの改悪の危険と隣合わせ」とはよく言ったもので、自分のアンテナを研ぎ澄ましてこれからの案件を消化して行きたい。

僕の拙い仮説を最後まで読んでくれたそこの貴方へ。ありがとう、心からお礼を言いたい。

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