つい先日「池上彰のニュースそうだったのか!」というテレビ番組を見ていたら「インフレになると人は買い物をする」という説明があった。それを聞いて僕は「爆買い」を思い出した。僕が何度か中国に行って見聞きした実体験からすると、中国人のお金に対する価値観は日本人のそれとは決定的に違う。果たして「爆買い」に対する動機はニュースで正しく伝えられているのだろうか。ハイパーインフレの中で育った若者がお金の価値をどう捉え、どのように行動するのか。日本人の僕が実際に見聞きしても理解できなかった「教科書が教えてくれない中国」について語ろうと思う。
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僕は普段あまりテレビを見ない方である。仕事をして子育てを頑張り、更にブログなんか書いているとテレビを見る暇がないというのが大きな理由である。しかし、こないだ偶然スイッチを入れたテレビの中では興味深い番組をやっていた。それが「池上彰のニュースそうだったのか!」である。
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番組の内容は池上彰が司会で簡単なクイズを交えて、長嶋一茂とか室井佑月などのゲストと国際社会や経済についてお勉強すると言うものだ。池上彰の番組としては鉄板だと思う。経済学的な物に疎い僕は「へー」ボタン(古い?)を心の中で押しながら観ていたのだが、ふと気になった表現があった。それは「インフレになると人は物を買う」という言葉だった。
この言葉を聞いて思い出すのは中国の知り合いに「お金というのは使ってなんぼ、貯金しても価値が下がるだけですよ」と言われたことだった。
目次
中国の物価の高さを肌で感じる
僕は数年前から仕事で中国に行くことが多くなった。それまでの僕の印象は「中国は日本より物価が安い」というものだった。しかし、初めて中国に出張で行った時に自分の世間知らずレベルを思い知った。なんと中国は日本より物価が高かったのだ。
為替の関係もあるかもしれないけど、スターバックスでカフェモカを頼むと600円くらいした。日本の倍近く高い値段である。高速道路のサービスエリアでマクドナルドのバリューセットを頼もうとしたらざっくり1,500円くらい…もう倍どころではなかった。
「こんなに物価が高くてみんなどうしてるの?」と現地の社長に聞くと、「どこに行っても高いから諦めて食べてますよ」との返答だった。もちろん衛生的に不安な屋台とかはもっと安い価格設定だろうけど、ナショナルブランドはどこも日本より高かった。ここで食事すると中国の平均年収から考えたらすごいエンゲル係数になるのではないだろうか。ちなみに飲食店以外はGAPに行っても2割は高かったし、ナイキみたいなお店に入っても日本より何割か高かった。
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中国の物価上昇を表すネットの皮肉
その社長からこんな話を聞いた、中国のネットで出回っている話らしい。
CCTV(中国国営放送)という日本のNHK?みたいな国営放送のチャンネルで流れるCMをパロディ化して揶揄しているのだ。ちなみに僕は中国でNHKを見ていて共産党のあまり良くないニュースが始まった途端に画面がブラックアウトしたことがある。CCTVは中国の体制を代弁するチャンネルと言われている。話題のCMはこんな風だった。
テレビCM「北京に住むおばあちゃんは何十年もかけて資産を数倍に増やした。それはCCTVを観てちゃんと貯金をしたお陰です」
ところが北京の家の価格はここ数十年で10倍以上になっているという。ハイパーインフレの物価上昇は貯金ではとても追いつけない。そのことをネットではテレビCMを揶揄してこう言っている。
ネット「北京に住むおばあちゃんは何十年前なら一軒家が買えたが、今はトイレも買えない。それはCCTVを観てちゃんと貯金をしたお陰です」
これは中国の人々がお金の価値をどのように捉えているかを垣間見ることができるエピソードではないだろうか。
マイルを無料で貯めて特典航空券で旅をすること
陸マイラーという言葉を聞いたことがあるだろうか?僕はほとんど飛行機に乗らずに年間数十万マイルを貯めている。それが陸マイラーのやり方だ。その方法の一番大事なところを記事に書いているので興味がある人は読んでほしい。記事はJALマイルとANAマイルで分けてあるが、最終的にどのルートを通してマイルを獲得するかの違いなので好きな方を貯めるといいと思う。
JALマイルの貯め方
ANAマイルの貯め方
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年収200万円後半で4,000万円のマンションを購入
僕が取引する会社に李君(リーくん)という30歳くらいの若手がいる。彼は日本円で300万円を切るくらいの年収で4,000万円のマンションを買った。そして乗っている車は300万円くらいしたそうだ。「どうしてそんなに高い買い物をするの?」と尋ねると「現在の中国都市部ではこれが当たり前です」と答えが返ってくる。
単純に計算すると日本で年収600万円の人が8,000万円のマンションを買い、600万円の高級車(僕にとっては)に乗っているような感じである。そんな生活有りなんだろうか?
僕が抱いた疑問に対して中国人の社長が解説してくれた。僕が訪れた中国の都市「杭州」ではここ10年ちょっとで家の価格が約10倍にあがった。もちろん給料も上がったようだが家の価格の上昇に追いつくほどは上がっていないらしい。(ちなみに中国では土地は国の物なので家の価格になる)
要はハイパーインフレである。その中で育った若い世代は貯金の危険性を身に染みて知っている。貯金しても明日には価値がぐっと下がる可能性があるなら使って今を楽しんだ方が利口だというのだ。
更には現金はインフレに対抗できない時があるが、家などの現物はハイパーインフレにも対抗できる。だからみんな無理をしてでも家を買うのだ、と。ざっくり言うと中国の人々はお金の価値を信用していないということだろうか…。
中国の人々の爆買いについて
中国人の社長はこう続けた。
「爆買いだって、日本で買った方が安いからですよ」
僕はそう聞くまでは俗に言う「爆買い」とは日本商品への憧れとか、日本に来た記念としてたくさん物を買うことだと思っていた。でも彼に言われたのは日本製品を中国で買おうとするとすごく高いから、物価の安い日本で買っていると言う。その対象は日本製品だけではない、カルティエとかロレックスなどの海外ブランドも中国で買うよりずっと安い価格で日本では買えるそうだ。
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中国と日本の関係について
若い頃の僕にとって中国といえば「三国志」と「ラーメンマン」のイメージしかなかった。それがいつしか経済で日本を追い抜き、政治外交では微妙な関係だ。
僕らは紹興酒を飲みながら政治・経済や生活全般の色々な話をした。その中で取引先の社長が言っていた言葉が印象的だった。
「私が初めて日本に留学した時、中国の1ヶ月分の給料を1~2日で稼げることに驚きました。まさかその時に今みたいに日本より物価が高くなる日が来るとは夢にも思いませんでした」
その日の夜は長かった。なぜか彼は私の将来を心配して現金ではない資産形成の大切さや投資の重要性について長々と話してくれた。彼らはハイパーインフレという経済の中で「持つ者」と「持たざる者」の格差を目の当たりにしている。僕は日本と言う社会の中でソコソコ頑張ればソコソコの暮らしが保障されていると思っていたが、世界標準はそうではないという事を実感する良い機会だったと感じた。
本日のまとめ
「見ると聞くでは大違い」とはよく言ったものだが、僕にとって中国の経済状況を実際に見たことは大きなターニングポイントだった。中国に行ったことがある人には解ってもらえると思うが、例えばベンツやBMWは都市部では高級車ではない、大衆車として扱われる。それくらいたくさん走っているのだ。そしてそこには大きな貧富の差があり、車も買えない生活をしている人々もいると思う。ちなみに僕が仕事で行く工場の労働者の月の賃金は20万円近くだ、日本で働く自動車メーカーの工員とそんなに変わらないと思う。
ハイパーインフレの中を生き抜く中国の人々のお金に対する価値観はバブルを体験していない僕らの世代には理解できないものとなっている。
「今買わないと将来買えなくなるかもしれない」
1年半くらい前に日本を揺るがした爆買いのニュースも、中国の人々のこんな心理を知っているのと知らないのでは大きく解釈が変わるのではないかと思った。
※文中の中国の状況は全て僕が見聞きや体験した内容だ。もっと中国に詳しい人からすると違った解釈になるかもしれないということをご理解頂きたい。
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