いつの時代も暗躍する詐欺師達、最近では仮想通貨を手口とする詐欺が流行っていることをご存知だろうか?
ある日、偶然にも僕は仮想通貨詐欺の現場に遭遇した。詐欺師が巧妙な語り口で老婆をセミナーへと誘っていることに気づいてしまう。耳を澄まして聞こえてくる会話をつなぎ合わせると、どうみても真っ当な投資の話ではない。
「仮想通貨は時々価格をチェックするだけで儲かるんですよ」
友達のように親しく話しかける詐欺師に「そんなわけないだろ!」と心の中でツッコミを入れてみる。その後もビットコインやイーサリアムが必ず上がり続けるなどという夢物語だけを語り続けていた。
そして、カモになりそうな老婆から聞こえてくるのは乗り気な回答ばかりだった。
「へぇー、そういうものですか(ワクワク)」
「楽しみですねえ、うふふ」
仮想通貨詐欺のセミナーは翌日に開催予定、業界の有名人も出席するという。老婆は楽しみにワクワクしてので、プロの詐欺師ならそこで確実に仕留めるはずだ。
「どーする?どーするんだよ、俺??」
この状況で詐欺師相手に何ができるのか?僕はあまり回転の速くない頭で可能な手段を必死に考えていた…。
目次
仮想通貨詐欺とは?その手口とは?
仮想通貨詐欺とはいったい何なのだろうか?その手口は周到だと言われる。
賢明な読者の皆様の中には知っている人がいるだろうが、僕は今まで全く聞いたことがない詐欺の形態だった。
僕が業界に詳しい友人に訪ねたことがある。仮想通貨詐欺についての友人の回答はこうだった。
「仮想通貨で新たな事業を起こす為の資金集めを装う詐欺のこと」
これをICO(イニシャル・コイン・オファリング)詐欺と世間では呼ぶようだ。この詐欺に引っかかる人間は老若男女問わず、そんなにうまい儲け話などないと皆、解っているはずなのになぜ信じてしまうのだろうか?
ある日、僕はそんな仮想通貨を語った犯罪の現場に居合わせることになってしまった。僕が垣間見た詐欺の一部始終について話そうと思う。
仮想通貨の勧誘話、詐欺としか思えない喫茶店の会話
僕が仮想通貨に勧誘するような会話を聞いたのはいつもの喫茶店。
いつものカフェでいつもの場所で、僕がブログを執筆しているとこんな声が聞こえてきた。
「仮想通貨はプリペイドカードにチャージすれば税金払わなくてい良いんですよ」
一体なんだ?と思って振り返ると40代後半の男女が70歳くらいの老婆に何かを説明している。
ここでは書かないがプリペイドカードの実名も出していた。そのカードはポイントサイトなどを利用している一部の人には有名なカードだから、僕の耳は過敏に反応したと言う訳だ。
き、喫茶店でポイントサイトの勧誘か…?
僕はできる限り彼らの話が聞こえるように耳を澄ましてみた。しかし、70歳の老婆をリアルでポイントサイトに勧誘するとは…と、思っているとどうやら話の方向性が変わっていった。
専門家の名前、投資や相場の話で勧誘
詐欺を仕掛ける40代後半の男性は仮想通貨だけでなく、投資や相場について有名人や専門家の話を続けた。
僕が聞いていても理解しきれないくらい、色々な投資話が交錯していた。そしてその男は最後にこう締めくくった。
「今からじゃ遅いんですよ、最初から始めていれば儲かった」
興味深々丸で聞いている僕も「そうかもう手遅れか…」なんて妙に納得してしまうほど、男は饒舌に話を続けた。
とにかく儲けるためにはタイミングが最重要、あなたは先日何かでまとまったお金を手にしたのだから今がチャンスだよ、というような話だったと思う。
ちなみにこの話を少し離れたところで聞いていた僕は、ここまで全く疑っていなかった。
なぜかと言うと喫茶店で投資の勧誘話なんて珍しくない。僕は今まで暴力団の盃をめぐる口喧嘩とか、風俗の勧誘で条件を詰める場面を何度も目撃してきたからだ。
仮想通貨セミナーの話を聞いて老婆の目は輝いていた
そして何やら明日、仮想通貨のセミナーを開くという話が聞こえて来た。
セミナーは予約制になっていて、男が話した専門家の一人が投資話について講演を行うというものだ。何でも新しいコイン(仮想通貨)を立ち上げるというではないか。
「ビットコインやイーサリアムより有望ですよ?」
…この新規コインの手口、さすがにちょっと怪しくないか?
仮想通貨セミナーの話や根拠のなさそうな他のコインとの比較話が出たところで、僕は詐欺の匂いをやっと感じ取ることができた。
怪しい、絶対にあやしい…そう思いながら気づかれないように老婆の顔を見ると、案の定儲け話に目をキラキラと輝かせていた。
警察に通報?仮想通貨の犯罪の匂い
今、目の前で仮想通貨詐欺が起きている。(ように思える)僕は警察に通報すべきかどうか真剣に悩んだ。
けれども僕は目の前の2人組が100%詐欺師だと証明できる術を持っていなかった。話も途中から途切れ途切れに聞いただけ、ひとつ言えるのは男の口調はもはや詐欺師以外の何物にも見えなかった。
僕がどう対処すればよいか悩んでいると詐欺師(であろう男)はこんなことを口走った。
「儲かるか損するかなんてつまらないでしょ?」
「うんと儲かるか、普通に儲かるかですよ、絶対にこれは!」
この瞬間、僕の中で男が詐欺師だと確定した。
なぜなら今まで何十回も人の投資話を聞いてきたが、「儲かる」と言い切った勧誘はひとつもなかったからだ。真っ当な投資に勧誘するのであれば、絶対に言ってはならないNGワード…
それが「絶対に儲かります」という言葉だろう。
目の前で仮想通貨詐欺の手口が進行していることを確信した僕は、どうにかして彼らの企みを妨害したくなった。けれども生まれつきのビビり症の僕はとてもじゃないが、直接文句を言うことなどできない。
どーするオレ?どうすんだよ?と僕は自問自答を続けたのだった。
僕が度胸もないのに仮想通貨詐欺を何とか防ぎたい!と思ったのには理由がある。それは昔、自分の親がオレオレ詐欺に引っかかったことがあるからだ。
その時の話はオレオレ詐欺の体験談と被害額という記事をご覧いただきたい。
あれはとても辛い経験だったから、老婆に同じ轍を踏んでほしくはない。ただお金に目がくらんでいるだけなら目を覚ましてあげたいと思った。
僕が取った仮想通貨詐欺への対策はこれだ!
そして僕は対策を決めた。仮想通貨の詐欺師どもに一泡吹かせてやることにしたのだ。
しかし僕が練りに練った末にたどり着いた仮想通貨詐欺への対策とは…
「どちらかが帰るまでじっと待つ大作戦」
というありふれた作戦だった。
詐欺師が先に帰れば、老婆に話しかけて詐欺だと教えてあげる。その逆の場合は追いかけていってどこかで老婆を捕まえる。我ながら詐欺師と一切相まみえない完璧なビビり作戦だったと思う。
僕は早速荷物をまとめて彼らの会話が終わるのを待つことにした。
詐欺コインの勧誘はますます盛り上がる…その時!
ところが僕の決意に反して、詐欺師と老婆の仮想通貨の話はますます盛り上がりを見せる。
老婆が乗り気なので詐欺師もノリノリで口から出まかせをさらに言い始めた。彼らの仮想通貨を購入すればとても儲かるそうだ。そしていっぱい利益を出せば…
「年に数回の旅行じゃなくて、毎日が旅行ですよ」
と言うバカ話にすら老婆はキラキラした目で相槌を打つ状態だ。
1時間近く終わるのを待って、もうそろそろ帰ろうかなと僕が思った時に老婆がこう言った。
「トイレに行ってきますね」
そして彼女は席を立ち、トイレへと向かっていった…。
詐欺から被害者を救うチャンスが到来!
来た!千載一隅のチャンス到来だ。僕はまとめていた荷物を持って足早にトイレへと向かった。
幸いにもトイレの前は詐欺師達から死角にあった。待つこと数分、老婆が出て来た瞬間に僕はこう伝えた。
僕「おばあちゃん、ダメだよ!」
老婆「はい?失礼ですが…」
僕「あいつら詐欺だよ!普通に考えたらそんな儲かる話あるわけないでしょ」
老婆「へぇ、そうなんですか?」
僕「とにかく絶対にセミナーとか行ったらダメだよ、絶対だよ」
老婆「それは…教えてくれてありがとうございます」
老婆はきょとんと目を丸くしながら、僕にお礼を言っていた。僕は犯人と目が合わないように注意しながら店を出ようとした。しかし少しだけ詐欺師の方に視線を向けた時…
ヤツは僕の顔を見つめていた。
本当に見ていたかどうかは分からないが、僕にはそう見えたのだ。
老婆と話している時とはまた違う、詐欺師の腐った魚のようなあの眼つきを僕は一生忘れないだろう。
詐欺の被害者になりそうな人を見たら、あなたはどうする?
その後、老婆がどうしたか僕には知る由もない。
僕の忠告を聞いてセミナーに行かなかったのか、誘惑に負けて詐欺師の手口にはまってしまったのか?
いずれにしても僕には警鐘を鳴らすことしかできなかった。
ごく普通の老婆でも被害者になり得る仮想通貨のコイン詐欺…
もし貴方の周りで同じことが起きていたらどうするだろうか?
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僕は今まで幾つかの詐欺に関する経験やニュースを見て来た。関連する記事のリンクを貼っておこう。
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