今日はバドミントンの桃田賢斗選手の話をしよう。1年程前に世間を騒がせた違法賭博事件を覚えているだろうか?リオオリンピックの金メダル候補と言われたバドミントンの桃田賢斗選手が闇カジノに出入りしていたと週刊誌が報じた。日本バドミントン協会は桃田選手に無期限の試合出場停止処分を科した。そして彼は出場が決まっていたリオデジャネイロオリンピックへの道を断たれた。先日、桃田選手の無期限の試合出場停止処分が解ける見通しというニュースを読んだ。
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僕は今から十数年前までの若い頃、バドミントンの選手として活動していた。(プロではないが)あの事件が起きて以来、業界関係者ではない人と、この件に関して話題に触れるのはずっと我慢していた。何故かというと報道が加熱し過ぎていて話をしても誰の共感も得られないのが分かっていたからだ。この記事を読んで反感を覚える人はきっと多いことだろう。それでもいい、そろそろ沈黙を破ろうと思う。
記事より引用
日本バドミントン協会は4日、都内で理事会を開催し、昨年4月に違法カジノで賭博行為をしていたことが発覚し、無期限の大会出場停止処分を受けている桃田賢斗(22)=NTT東日本=について、来週12日の理事会で処分解除を検討することを決定した。(デイリースポーツ)
バドミントンマガジン 2017年 03 月号 [雑誌]
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僕が桃田選手を初めて見た時
僕が桃田選手のプレーを見たのは今から数年前、バドミントンのU18の世界大会が日本で行われていた時だ。バドミントン業界では桃田選手は中学生の頃から「天才児」としてその名を馳せていた。たまたま僕が選手時代にお世話になった台湾人の息子がU18の世界大会に出場していたので試合会場に会いに行った。知り合いの息子は途中で負けてしまったが、桃田選手と中国選手の決勝戦を観ることができた。
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世界最高峰のテクニック
噂には聞いていたが桃田選手のテクニックは18歳のそれとは思えないくらいレベルが高かった。当時からバドミントンでは最強国だった中国の次期エースの若手を相手に互角以上のラリーを繰り広げて勝利した。U18の世界チャンピオンになったのだ。僕が一番印象に残ったのは桃田選手がスピードやパワーで中国選手を倒したのではなく、テクニックと配球で優勢的に試合を進める姿だった。おそらく日本人選手の試合を見て鳥肌が立ったのはリオデジャネイロ五輪で「タカマツペア」が最後の5点を連取して金メダルを決めた時かこの時の桃田選手の試合だけだと思う。それぐらいすごかったのだ。
僕の世代の日本のレベル
僕が若い頃は友人が日本代表選手だった。二流選手の僕から見たらパワー・スピード・テクニックのどれをとっても神がかったすごいヤツだ。ところが彼が海外遠征に行くとすぐに負けて帰って来る。何があったのかと聞くとこう答えが返ってきた。
「中国選手はどこに打ってくるのか分からない。あんなプレーをする練習相手はいないし、コーチもいない。勝てる理由が見つからないんだ…」
それが当時の日本代表の世界の中でのレベルだった。その時から比べると日本のバドミントンのレベルは飛躍的に向上した。「オグシオ」や「マエカキ」が通過点となり、十数年の時を経て日本のバドミントン界は桃田選手という中国にとって圧倒的脅威になる逸材を手にしたのだ。
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金メダルも夢じゃなかった
桃田選手のすごさを解りやすく説明すると、テニスの錦織選手や卓球の水谷選手より国際大会での実績は遥かに良い結果を出していた。2015年の世界ランキング上位だけが集まって行われる「BWFスーパーシリーズファイナル」という大会でも彼は優勝している。一発勝負の中で世界一を手にしたという事は翌年のオリンピックで桃田選手が金メダルを取ったとしても、誰も驚かないくらいのレベルだった。
そしてあの「違法賭博事件」が起きた。
桃田選手はオリンピックという最高峰の舞台に立つ権利を失った。
僕が言いたいこと
僕は彼の処分に異議申し立てをしたい訳ではない。ただ幾つか腑に落ちない点があるのだ。
ひとつめは協会関係者の処分が甘いこと。日本バドミントン協会は桃田選手のお陰で散々いい思いをしてきたはずだが、協会関係者にはもっとも軽い「注意」という玉虫色の処分しかしなかった。僕の知り合いは処分の甘さに異議申し立てをしたが、もちろん予定調和の様に握り潰された。協会はある程度個人や所属チームの問題だと責任を回避したのだが、こういう時にトップが責任を取れない組織は最悪としか言いようがない。
さらには普段、バドミントンなんか見向きもしないジャーナリストみたいな人がテレビで「これは許せませんね〜」と語っている。多分、スポンサーから干されてしまうからできないと思うが、この手の人達が雀荘で当たり前の様に行われている「闇の賭け麻雀」や警察庁長官が「現金のやりとりは確認できない」と言うパチンコの闇に深く切り込んだのを見たことはない。(下記の引用コメント参照)
警察庁長官「私の知り得る限りではパチンコ屋は遊戯営業者で景品との交換しか認められてないはずですよ。 現金や有価証券との交換してるとは1度も聞いた事ありませんが。ましてや景品法で遊技場の景品は1万円以下と限定されてるはずですが?もし現金と交換してるなんて事実があればそれは大変な事ですね。」
パチンコ「30兆円の闇」 (小学館文庫)
節操のないジャーナリストはどうでもいいとして、いったい誰が闇カジノと雀荘の違いを説明できるのだろうか?これこそ闇カジノよりももっと深い「日本の闇」ではないかと僕は思う。警察が見て見ぬふりするパチンコを棚に上げて「日本ではギャンブルは違法です」というおかしなダブルスタンダードを誰も指摘しない(正確にはできない)状態だ。僕にはみんなが錦の御旗を振りかざして桃田選手をフルボッコにしているようにしか見えなかった。
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日本の現役世代の大人達に問いたい
あの事件が起きて、僕は大人の汚い世界が露骨に現れたと感じた。言い換えると桃田選手はその犠牲になり、見せしめにあったと言えるだろう。繰り返すが僕は彼の出場停止処分について文句を言っているのではない。いい歳の大人が少しつまづいた若者に対して一生懸命ディスる姿を沢山見て「み・っ・と・も・な・い」と思っただけだ。これはテレビの中の話だけではない、僕の周りの大人にも多かった。老害とか呼ばれてる世代はもういい…まだ現役世代の大人達にこう問いたいのだ。僕らは若者に対してもう少し寛容な心で物事を論じられないのだろうか?
これからの桃田選手に期待したい
処分が解ける見通しに対して、現在世間は比較的に暖かい目で見守っているように思う。 週刊誌や口だけの自称世直しジャーナリストもお金にならないのでやる気も出ないだろう。彼はもう十二分な社会的制裁を受けたはずだ。契約不履行によるスポンサーへの違約金だって相当額になったことだろう。
僕はこれから復帰する桃田選手がそういった世の中の矛盾に潰されずに人間として成長することを切に願う。そして挫折を経験した人間だけが持てる強さと優しさを身につけて欲しい。いつの日か挫折した後輩達に優しく手を差し伸べて欲しいとも思う。
2020年、桃田選手の東京オリンピックでの活躍に期待したい。
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そう。東京がある。
表彰台の頂点で、日の丸掲揚と君が代斉唱。
最高の舞台だ。
ぴーじぇいさん、コメントありがとうございます。
そうですね、大きく成長して堂々とプレーして欲しいです(*´꒳`*)
同じような犯罪を犯したAさんとBさんがいたとして、
Aさんの裁判では重い判決がでて、Bさんの裁判では軽い判決が出たとします。
この二つの裁判を比べて「この差はおかしい」というのは真っ当な話です。
ただしAさんを擁護したいなら「Bの裁判の結果を擁護して、その論理をAの裁判にも適用しろ」
という主張でなければ筋はとおりません。
あるいは逆に「Aの裁判の結果を擁護して、Bの裁判の結果を糾弾する」でも筋は通りますが、
その場合、Aさんは擁護されるべきでなく、主題は「Bの裁判の結果の不当性の追求」であるべきです。
それなのにこのエントリーでは
・Aの裁判の結果の一部(世間のバッシング部分)については不当であると言いながら、Bの裁判の結果を擁護していない。
・Aの裁判の結果の一部(処分内容の妥当性)については認めてるのに「Bの裁判の結果の不当性」が主題じゃない。
としか読めません。
「この差はおかしい」までなら真っ当な話ですが、その後の論理展開の筋がおかしいのです。
まあ桃田選手への期待と悔しさは伝わりましたので、そこが主題かもしれませんが。
Shin-JPNさん
コメントありがとうございます。論理展開の筋についてはご指摘の通りだと思います。お見通しの様に思いが先行して書いております。何故かと言うとそれが私の書き方だとしか説明できません。論理的にご意見頂けるのはとても嬉しかったです。ブクマまでして頂きましてありがとうございました、感謝です!(*´꒳`*)